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新精漆の生まれた背景
漆を塗装する上で障害になる点を幾つかあげてみると、

1 工程数が非常に多い事。
2 1工程の乾燥に時間が掛かる為、仕上がりまで相当な日数を要す。
3 乾燥するのに湿度の管理が必要である。
4 かぶれに対する注意が必要。
5 塗膜としては、耐候性に問題あり。(紫外線)

漆は昭和の始めより様々な先駆者が改質の試みを行ってきました。それらはその時代の要求に応じて漆の使用範囲を広げようという試みであり、古くからの伝承による漆塗りとは一線を画するものです。擦り漆のページで紹介したように、黒漆や彩漆(いろうるし)を用いた塗り立て(上塗り漆を塗りっぱなしで仕上げる技法)や蝋色仕上げ(油分の含まない蝋色漆を上塗りして磨き上げる技法)は古い歴史を持つ伝統技法であり、それは漆器に代表される伝統工芸を支え、漆文化をつくり上げてきたものです。しかし、この漆の持つ美しさを漆器以外(たとえば建具や建築の柱、家具、仏壇等)の物に付加したいとなった時、上記の点が障害になります。このページでご紹介する"新精漆"のシリーズは、上記の障害をなんとかクリアーして漆の本質的な性能と美を損なわない形で漆塗りの新たなスタイルを確立したい、という時代の要求から生まれました。またそれは、初心者の方でも漆塗りにアプローチのしやすいスタイルではないかと思います。
擦り漆の参考工程は >>> こちら

新精漆シリーズの構成
新精漆とは、うるしの本質的な美を損なわぬ形で、ポリマーブレンドを行い、漆ムロの助けがなくても常温で乾燥機能を持つ(擦り漆を除く)新スタイルの漆塗料です。
新精漆「うるしファインシリーズ」は、特殊なポリオール(A液)とポリイソシアネート(B液)が反応することによって、漆成分が空気中の僅かな水分で酵素酸化を起こしウレタン反応との相乗作用によって乾燥するように設計された画期的な漆入りウレタン塗料です。

※シリーズの中の「擦り漆#5」は純然たる漆そのものですので、ウレタン塗料ではありません。組み合わせて使用する事により、従来の漆塗りに比べはるかに塗り回数が少なく、また工程時間も短縮された「漆塗り」が実現します。

新精漆 うるしファイン錆漆(さびうるし) A液 
肉付けをし、平滑面をつくる為の中塗り漆塗料。
研磨剤・目止め剤が配合されておりますので半透明の塗膜になります。吸い込みのキツイ材・小口・MDF(繊維ボード)等の下塗りとして最適です。 主にエナメル仕上げの下塗りに使用します
下地共通(硬化剤)B液使用 A:B=1:1で使用
新精漆 うるしファイン下地共通B液 
うるしファイン木固め・錆漆 共通(硬化剤)B液
A液:B液=1:1の比率で配合し、うるしファインシンナーにて適度(10〜50%)希釈して使用します。
新精漆 うるしファイン フラットクリアー 
スプレーで仕上げをする為の上塗り透明漆塗料
3分消し・5分消し・7分消し・全消しがあります。
専用(硬化剤)B液でA:B=5:5で使用
新精漆 擦り漆#5 
擦り漆の為の専用の純度の高い漆です。
市販の漆に比べ不純物が少ないので乾燥が速くチヂミにくい。ただし、漆ムロ必要です。
新精漆 輝光 
仕上げ用上塗りエナメル漆塗料
速乾性、肉持ち・光沢が良く、紫外線の対候性良好刷毛塗り・スプレー可能。彩漆に代わるウレタンタイプの塗りつぶし漆塗料です。

艶と色の種類

・上黒(艶有高光沢)
・上朱合(艶有高光沢) >>> カシューの「透」と同様のものです
・黒(艶有と大艶の中間/速乾性)
・朱合(艶有と大艶の中間/速乾性) >>> カシューの「透」と同様のものです
・大艶黒(漆艶/速乾性)
・大艶朱合(漆艶/速乾性) >>> カシューの「透」と同様のものです
・半艶黒(半艶/速乾性)
・半艶朱合(半艶/速乾性) >>> カシューの「透」と同様のものです
・彩漆(いろうるし) >>> エナメル塗料、カシューの色見本より近似で調色可能です。

彩漆の色選択は通信欄にご記入下さい。色の種類についてはカシュー色見本を参考にして下さい。

容量:1.5kgセット(主剤1kg・硬化剤500g)/6kgセット(主剤4kg・硬化剤2kg)

たとえば大艶の黒1.5kgセットのご注文では、主剤・大艶黒1kg/硬化剤500gのセットとなります。 専用(硬化剤)B液でA:B=2:1で使用

新精漆 輝光をご注文の際には、専用うすめ液が必要になります。
新精漆 輝光 吹き付け用うすめ液105号 
新精漆 輝光 刷毛用うすめ液110号 

新精漆 輝光 黒の仕上がり感は、塗立漆、本黒など漆の仕上がりと変わりない仕上がりが得られます。常温(常湿)で乾燥し、乾燥が速く、肉持ち、光沢の良い新精漆 輝光を一度お試し下さい。


新精漆の基本工程
素材については、最終#240番ペーパーにて木地研磨を行って下さい
木固め >> 擦り漆 >> 木固め >> 仕上げ の工程も組めます

擦り漆仕上げ                         擦り漆の参考工程は >>> こちら
  工程 使用塗料 配 合 塗り方 乾燥時間
素地着色 水性ステイン(省略可能) 水で0〜200%薄め 刷毛塗り 1時間
擦り漆 擦り漆#5をテレピンで20〜30%うすめて使用   擦りこんで拭き取り 漆ムロで一晩
中塗り うるしファイン木固め
(場合によりOFステイン添加して着色)
A:B=1:1で適量シンナー希釈 刷毛塗り
スプレー
4時間以上
研磨 #400サンドペーパー 全体を丹念に ケバ取り  
擦り仕上げ 擦り漆#5 テレピンで5〜10%うすめ 擦りこんで拭き取り 漆ムロで一昼夜
吹付け仕上げ うるしファインフラット各艶 A:B:シンナー=5:1:2〜3 スプレー 一晩

黒塗り・朱塗り等ぬりつぶしエナメル仕上げ
  工程 使用塗料 配 合 塗り方 乾燥時間
下塗り うるしファイン木固め A:B=1:1 刷毛塗り・スプレー 4時間以上
研磨 #320サンドペーパー      
中塗り うるしファイン錆漆 A:B:シンナー=1:1:0.2〜0.5 刷毛塗り・スプレー 4時間以上
研磨 #400サンドペーパー      
上塗り 新精漆 輝光 A:B:シンナー=2:1:1〜1.5 刷毛塗り・スプレー 8時間以上

上塗り前の木の導管の止まり具合によっては、2・3を繰り返します。





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